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法人が不動産売却をしたときにかかる税金は?個人との違いを比較!

  • 2020.07.03
  • 2020.07.27
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法人と個人では、不動産売却時に発生する税金の計算方法が異なります。
個人が不動産を売却して利益を得たときは、その他の所得と切り離して税額を計算します。
しかし法人の場合、不動産売却の利益をその他の所得と合算し、総額に対して課税されます。この記事では、法人が不動産売却をした際にかかる税金について、個人と法人の税率の違いや経費の考え方、消費税などを含めて説明します。
遠鉄の不動産・浜松ブロック長
江間 和彦(えま かずひこ)


宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士

不動産売却における法人の税金

不動産売却では、個人と法人で税金の考え方が異なります。
個人の場合は「譲渡所得税」として算出しますが、法人の場合は「法人税」としての計算が必要です。

まずは税金計算に必要となる「収益・経費」の考え方から解説します。

法人と個人における収益・経費の違い

不動産売却では、法人と個人で収益や経費の考え方が異なります。

法人の税額計算では、すべての収益と経費を合算します。
トータルの収益額から経費を差し引いたものを「利益」として扱います。

個人の場合は、事業から得た所得は事業所得、不動産などの資産を売却して得た所得は譲渡所得などに分けて計算します。
経費についても、事業のための経費は事業所得の経費、不動産売却のための経費は譲渡所得の経費、というように分類が必要です。

法人が不動産売却をしたときの税率

法人が不動産を売却した際に発生する税金は「法人税」「法人住民税」「法人事業税」の3つです。

普通法人税の税率

普通法人の税率は以下のとおりです。

資本金 課税所得額 適用関係(開始事業年度)
2016年4月1日以後 2018年4月1日以後 2019年4月1日以後
1億円以下 年800万円まで 15% 15% 15%
19%
(※適用除外事業者)
年800万円以上 23.4% 23.2% 23.2%
上記以外の普通法人 23.4% 23.2% 23.2%

(引用元:国税庁ホームページ

※その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等

法人住民税・法人事業税

法人住民税・法人事業税は、法人税額に基づいて計算されます。
不動産を売却して課税標準額と法人税額が増えた場合、法人住民税・法人事業税も増えます。

法人住民税は、下記の2つの合計金額です。

  • 法人税割:課税標準額×住民税率
  • 均等割:資本金などの条件によって決まる

法人事業税は資本金の額によって、計算方法が異なります。
税率も各都道府県によって異なるため、自治体のHPなどで確認しましょう。

個人が不動産売却をしたときの税率

個人が不動産を売却した際には、出た利益(譲渡所得)に対して「譲渡所得税」がかかります。

個人の不動産売却時の譲渡所得は分離課税の対象で、他の所得とは別に課税対象として計算が必要です。
譲渡所得税は不動産の所有期間が5年未満か、5年以上かで異なる税率が設けられています。

所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30.63% 9%
長期譲渡所得 5年超 15.315% 5%

(引用元:国税庁ホームページ)※上記税率には復興特別所得税が合算されています。

また所有期間が10年を超えた場合は軽減税率が適用されます。

所有期間 課税譲渡所得額 所得税率 住民税率
10年超所有軽減税率の特例 10年超 6000万円以下の部分 10.21% 4%
6,000万円超を超える部分 15.315% 5%

(引用元:国税庁ホームページ)※上記税率には復興特別所得税が合算されています。

個人が不動産を売却した際の税金について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

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不動産売却の経費としての価値

税金の課税対象となる「利益」を求めるためには、不動産売却の経費を算出する必要があります。

法人の不動産売却でも、印紙代や不動産会社への仲介手数料などの経費が発生します。なかでも重要なのが「売却する不動産の経費としての価値」です。

不動産の経費としての価値とは、売却した時点での帳簿価額のことです。
売却する不動産が土地か建物かで内容が異なります。

土地のみの場合、造成などがない限りは取得価額が帳簿価額として使われます。

建物は時間の経過とともに価値が減っていくものとして扱われるため、毎年減価償却されています。
「取得価額-売却日までの減価償却累計額」で算出された金額が、建物の帳簿価額です。

法人の不動産売却時の消費税

消費税の課税事業者である場合、不動産売却によって消費税が発生するケースもあります。

土地のみの売却は「権利の移転」とみなされるため消費税はかかりません。
しかし建物の売却は「付加価値を生む取引」として扱われるため、消費税の対象です。

ただし2期前の事業年度の課税売上高が1,000万円を超える場合のみ課税され、1,000万円のうち建物の部分だけに消費税が課税されます。

法人の不動産売却日はいつ?

法人が不動産を売却する際は「不動産売却日」の考え方が個人の場合とは異なります。

不動産売却日(譲渡日)の定義は「不動産の引き渡し日」が原則です。
しかし例外的に「不動産売却の契約を締結した日」を売却日とすることも可能です。

不動産売却の手順は下記のとおりです。

  • 契約書を作成する
  • 頭金・中間金などが支払われる
  • 最終金の支払いと同時に不動産が引き渡される

つまり契約書の作成または最終金の支払い日が、法人の不動産売却日として扱われます。
契約書の作成日と不動産の引き渡し日の事業年度が異なる場合、どちらを売却日として選ぶかによって収益や税金の計算が異なります。

ただし土地のみの売買では、次のうち早い方を採用します。

  • 代金の約50%を収受した日
  • 所有権移転登記申請日

まとめ

法人と個人では、不動産売却における収益や経費の考え方、税率も異なります。
法人の場合、不動産売却で得た利益も事業所得の一部として計算し、法人税を支払います。

利益計算で重要となる「不動産の経費としての価値」は、土地か建物かによって異なるなど、税金計算には専門的な知識も必要です。

不動産売却を検討している法人の方は、法人との取引経験や実績が豊富な不動産会社に相談することをおすすめします。

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