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不動産・マンション売却の委任状とは?代理人に委任できるの?書式や注意点を解説

  • 2020.07.01
  • 2020.10.16
  • 売る
不動産を売却するときは仲介業者立ち会いのもと、物件の所有者と買主で契約手続きをおこないます。
しかし事情により所有者本人が立ち会えない場合、委任状によって売却の手続きを第三者に委託できることをご存じでしょうか?この記事では不動産売却の委任状の内容や書式、作成時の注意点についてもわかりやすく解説します。

遠鉄の不動産・中遠ブロック長
岩井 優(いわい ゆう)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、CPM®(米国不動産経営管理士)、相続支援コンサルタント、3級ファイナンシャル・プランニング技能士

不動産売却を代理人に委任できるケース

不動産の売却は所有者本人の立ち会いが必要です。しかし次のようなケースでは、代理人に委任することもできます。

不動産が共有名義の場合

相続により所有者が複数名いる、夫婦共有名義となっているなどの場合、売却に関わる手続きには所有者全員の立ち会いが必要です。
しかし全員が一堂に会するのが難しいときは、代理人に売却を委任できます。

不動産の所有者が遠方にいる場合

不動産の所有者が海外在住である、または国内でも物件から遠くに住んでいるといった場合は、売却の手続きを代理人に委任することが可能です。

売却手続きの時間が取れない場合

不動産の売却が完了するまでには、価格査定や契約の締結、内覧の準備などさまざまなステップを踏まなければなりません。
物件の所有者が仕事で忙しい、体調が悪く入院しているなどの理由で時間の確保が難しいときも、売却手続きを代理人に委任できます。

不動産売却の委任状の書き方

不動産売却の委任状に特定の形式はありませんが、記載すべき項目がいくつかあります。
委任状に必要な項目と、書き方の例についてみていきましょう。

不動産売却の委任状に必要な項目

委任状では代理人に付与する権限を明確にするために、以下の項目を記載しましょう。

  • 「不動産の売却を代理人に委任する」という旨の文章
  • 売却する不動産の情報
  • 土地:地番、地目、地積など
  • 建物:所在、家屋番号、種類、構造、床面積など
  • 売却の条件
  • 売却価格、手付金の額、引き渡し予定日、登記申請手続きについてなど
  • 委任の範囲など売却に関する決めごと
  • 委任状の有効期間
  • 委任者の住所および氏名・捺印(実印)
  • 代理人の住所および氏名

別途、以下の書類が必要です。

委任者:印鑑証明書(3か月以内のもの)、実印、住民票(3か月以内のもの)
代理人:印鑑証明書(3か月以内のもの)、実印、本人確認ができる身分証明書(運転免許証など)

不動産売却の委任状の書式・ひな形

委任状には決まった書式はありませんが、ひとつの事例を紹介します。
(※例は木造一戸建てです。)

委任状

委任者〇〇〇〇(以下「甲」という)は、受任者△△△△(以下「乙」という)を代理人と定め、甲所有の下記不動産を下記条件にて売却することを委任する。

1.売買物件の表示
(土地)
所在:静岡県浜松市〇〇区〇〇 〇丁目
地番:〇〇番〇
地目:宅地
地積:〇〇〇.〇〇㎡

(建物)
所在:静岡県浜松市〇〇区〇〇 〇丁目 〇〇番〇
種類:居宅
構造:木造瓦葺2階建
床面積:1階  〇〇.〇〇㎡
2階  〇〇.〇〇㎡

2.売却条件
(1)売却価額:金〇〇〇〇万円
(2)手付金の額:金〇〇〇万円
(3)引渡予定日:令和〇年〇月〇〇日
(4)違約金の額:売買価額の〇〇%相当額以上で、乙が買主と協議のうえ決定する。
(5)公租公課の分担起算日:引き渡し日
(6)金銭の取扱い:
※売却代金や手付金の入金方法、収入印紙代や固定資産税の清算金の取扱いについてなどを記載する。
(7)所有権移転登記申請手続等:
※売却後の所有権移転登記申請手続きについての決めごとを記載する(移転登記申請に必要な書類の手配についてなど)
(8)その他の条件:上記売却条件に定めのない事項や上記売却条件の履行に変更が生じるときは、その都度甲・乙協議のうえ決定する。

3.有効期間
この委任状の有効期間は〇か月とする。ただし、甲・乙の合意により更に〇か月間更新することができる。

以上

令和〇年〇月〇〇日

住所:静岡県浜松市〇〇区〇〇
氏名:〇〇 〇〇
乙(受任者)△△ △△殿

上記委任事項確かに受任いたしました

令和〇年〇月〇〇日

乙(受任者)
住所:静岡県浜松市〇〇区〇〇
氏名:△△ △△
甲(委任者)〇〇 〇〇殿

不動産売却の委任状作成の注意点

委任状は、代理人に不動産売却の権限を与えたことを証明する書類です。
間違いや記載もれに気づいても、委任状の権限範囲内で実行された事柄について、あとから取消すのは困難です。

不動産売却の委任状を作成するときは、次の項目について確認しましょう。

記載事項に誤りがないか

売却する不動産の情報や売却条件、委任者と代理人の住所・氏名などに間違いがないか確認します。
土地や建物の表記については、登記事項証明書や登記済権利証のとおり正確に記載しましょう。

委任内容に相違がないか

代理人に委任する範囲について明確にしておく必要があります。
誰が見てもわかる内容か、曖昧な表現はないかなども、あわせてチェックしておきましょう。

委任状に空白がないか

委任状の項目の中で一部(委任の範囲など)が空欄になっているものを「白紙委任状」といいます。
委任事項が明確にされていない白紙委任状はトラブルの原因になります。
委任状は必要事項全てを記載し、空白がない状態で作成しましょう。

項目の最後に「以上」があるか

第三者による追記を防止するため、委任状の項目の最後に「以上」という文字が書かれているか必ず確認しましょう。

不動産売却の委任で失敗しないために

委任行為は売却の権利を他人に与えるものなので、慎重におこなう必要があります。
不動産売却の委任で失敗しないために、次の2つを意識しましょう。

信頼できる人に委任する

代理人は与えられた権限の範囲内の事柄について、所有者の了解を得ずに意思決定することができます。

不動産売買は高額な取引です。
トラブルを避けるためにも信頼できる人に委任をすることが大切です。
適切な代理人としては、法律の専門家である弁護士や司法書士、または近しい親族や身内などがあげられます。

代理人とはこまめな「報連相」を心がける

不動産の売却を代理人に委任するのは、本人が手続きに立ち会えない事情があるためです。
しかし代理人の意思により決定したことは、委任者本人の決定と同じ効力を持ちます。

すべて代理人に任せきりにするのではなく、こまめに「報告・連絡・相談」することを心がけましょう。

まとめ

不動産の売却には、所有者と買主双方の立ち会いが必要です。
しかし事情により所有者が立ち会えないときは、売却に関わる権限の範囲を指定して代理人に委任できます。

委任状の作成は、記載事項や委任内容に間違いがないか確認することが大切です。
委任状の作成について不安があるときは、不動産会社や弁護士、司法書士に相談しましょう。

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