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不動産売却とふるさと納税による節税

  • 2020.04.24
  • 2020.07.27
  • 売る

「不動産を売ったときに、ふるさと納税で節税ができるって本当?」
「ふるさと納税の控除上限額を知りたい」

不動産を売却して出た利益は、所得税や住民税の課税対象です。
自治体を支援しながら返礼品がもらえる「ふるさと納税」は、税金の控除対象であり不動産売却時の節税対策としても活用できます。
控除上限額が設けられているため、事前に条件を確認しておくと安心です。

今回は不動産売却における「ふるさと納税」のメリットについて、金額例を示しながら説明します。

遠鉄の不動産・中遠ブロック長
岩井 優(いわい ゆう)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、CPM®(米国不動産経営管理士)、相続支援コンサルタント、3級ファイナンシャル・プランニング技能士

不動産売却とふるさと納税

ふるさと納税は自分が選んだ自治体に寄付をすることで、返礼品やサービスが受け取れる制度です。

寄附金額から自己負担金(2,000円)を引いた金額は、所得税と住民税から控除されるため節税対策としても注目されています。
不動産売却においても、税金控除が受けられる貴重な制度のひとつです。

ふるさと納税は年収や家族の人数、子どもの年齢などの条件により控除上限額が決まっています。

例として次の条件で計算します。

  • ふるさと納税を行う方本人の給与収入:600万円
  • 扶養家族:妻(収入なし)、高校生1人

参考:総務省HP ふるさと納税ポータルサイト

この場合、控除対象額は「6万円」となり、ふるさと納税で8万円寄付しても2万円分は控除対象外です。
賢く利用するためには、控除対象額内での寄付がおすすめです。

ふるさと納税が節税に有効なケース

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、給与以外の所得として課税対象となります。
課税対象額が増えることで、ふるさと納税の上限額も上がり控除額も増えます。

控除の上限額が引き上げられるのは「譲渡所得」がある場合のみです。

  • 譲渡所得=売却価格ー(取得費+譲渡費用)

しかし住宅売却の場合は、不動産市場が低い時期に購入した物件でもない限り利益は出にくいでしょう。

先祖伝来の土地など取得費用が不明な場合は、売却額の5%相当を取得費とする取り決めがあります。
そのため譲渡所得が多くなる可能性が高く、ふるさと納税による節税効果が出やすいでしょう。

ふるさと納税の控除上限額の計算方法

不動産売却による譲渡所得が発生し「ふるさと納税」で節税する場合は、控除上限額の試算が必要です。
上限額は年収に応じて決まるので、年間収入が確定していない場合は予測を立てて計算しましょう。

ここからは「ふるさと納税」の上限額の計算方法を説明します。

1.源泉徴収票の「所得控除後の金額」を確認

「所得控除後の金額」とは、給与などの収入から各種控除を差し引いた金額で、ふるさと納税の上限額を決めるベースとなります。

前年の源泉徴収票や住民税通知書に記載された数字から計算できます。
一般的な源泉徴収票では「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いたものが「所得控除後の金額」です。

2.所得から住民税所得割額を計算

次に住民税所得割額を計算します。
不動産売却による譲渡所得がある場合は、給与などによる総合課税と譲渡所得にかかる分離課税が混在します。

【給与所得の総合課税】
1の「所得控除後の金額」×税率10%

【不動産譲渡所得の分離課税】
不動産の所有期間によって税率が異なります。

  • 短期譲渡所得(5年以下)税率9%
  • 長期譲渡所得(5年超)税率5%

次の例で計算してみましょう。

  1. 所得控除後の給与所得1000万円
    総合課税額は1000万円×10%=100万円
  2. 譲渡所得3000万円、長期譲渡所得
    分離課税額は3000万円×5%=150万円
  3. 住民税所得割額
    100万円+150万円=250万円

3.住民税所得割額と所得税率から、ふるさと納税の控除上限額を計算

住民税所得割額の合計から、控除上限額を計算します。
控除上限額を算出する計算式は下記のとおりです。

  • 控除上限額=住民税所得割額×20%÷(90%ー所得税率×1.021)+2,000円

給与所得による総合課税と不動産譲渡所得の分離課税の両方がある場合、総合課税の所得税率が適用されます。

所得金額と税率は次のように設定されています。

課税される所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円超え330万円以下 10%
330万円超え695万円以下 20%
695万円超え900万円以下 23%
900万円超え1,800万円以下 33%
1,800万円超4,000万円以下 40%
4,000万円超:45% 45%

(引用:国税庁

先ほどの例で計算すると、次のようになります。

  • 所得控除後の給与所得1000万円
  • 5年超(長期譲渡所得)の不動産の譲渡所得3000万円
  • 所得税率33%

250万円×20%÷(90%ー33%×1,021)+2,000=約88万円
ふるさと納税の控除上限額は約88万円です。

ちなみに、不動産譲渡所得がない場合は、
100万円×20%÷(90%ー33%×1,021)+2,000=約35万円
となり、およそ53万円の差額が出ます。

「3000万円特別控除」と「住宅ローン控除+ふるさと納税」どちらがお得?

マイホームの売却の場合、発生した譲渡所得が3,000万円以下であれば「3,000万円特別控除」が受けられます。
特例を使うことで課税対象となる所得はゼロとなり、所得税と住民税もかかりません。

しかし「マイホームの買い替え」は例外で、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を利用する場合、「3,000万円特別控除」との併用できません。
住宅ローン控除は、住宅ローンの年末ローン残高に応じた控除額が、10年間所得税から控除されます。
そのため譲渡所得が数百万円と少ない場合には、特別控除よりも住宅ローン控除を利用するほうが、負担を抑えられるでしょう。
その場合は譲渡所得が発生するため、ふるさと納税の上限額も引き上がり控除額が増えます。

土地の売却や投資用マンションなど「3000万円特別控除」が使用できない場合は、譲渡所得がそのまま計上されるため、ふるさと納税の上限も増えます。
相続した住宅を取り壊した後の売却などは、特別控除が使えるケースもあります。

どの控除制度を利用するかによって、ふるさと納税の節税効果も異なるため、申請前に確認しましょう。

まとめ

不動産売却で出た利益が大きく、課税対象になる場合には節税対策も視野に入れましょう。
「ふるさと納税」を活用すれば不動産売却時の節税もできます。
ただし申請の上限額が年収などの条件で決まり、売却したその年の間に寄付する必要があります。

「ふるさと納税」以外の特例が利用できるケースもありますので、まずは不動産と税金情報に詳しい不動産会社に相談しましょう。

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