春の訪れを待つ デンマーク流“ヒュッゲな暮らし”

世界幸福度ランキングで毎年上位に名を連ねるデンマークは、近年“ヒュッゲ(HYGGE)”という言葉とともに、「幸せの国」として世界的に注目を集めています。

寒さが厳しいデンマークでは、居心地のよい我が家で親しい人たちと豊かな時間を過ごす“ヒュッゲ”な暮らしを大切にしてきました。春の訪れまであと少し、日々の生活にヒュッゲを取り入れた暮らしのヒントをインテリアコーディネーター山賀史子さんに教えていただきました。

ヒュッゲって何?

厳しい自然の中で暮らしてきた北欧の人々は、自然に寄り添いながら短い夏を楽しみ、長い冬を穏やかに過ごす文化を育んできました。

ヒュッゲは、そのような北欧の価値観から生まれたデンマーク独自のアイデンティティです。自然への敬意に満ちた暮らしの知恵や工夫、人生の喜びがヒュッゲに集約されています。

一般的には、心が安らぐこと、親しい人たちとの心地良い一体感、お気に入りの物に囲まれた居心地の良い空間、自然を愛し、身近なものに幸せを感じること・・様々な場面で「ヒュッゲ」という言葉が使われます。

ヒュッゲな暮らしに欠かせないキャンドルの明かり

キャンドル消費率が世界1位のデンマークでは、ヒュッゲを作りだすための「温かい明かり」は欠かせません。夕暮れになると、陽が陰る様子をうかがいながら、少しずつキャンドルを灯し、移ろいゆく空の色と、部屋の明かりを楽しみます。

キャンドルや間接照明を巧みに使いこなし、光のグラデーションを楽しむデンマークの明かり文化は、「ブルーアワー」と呼ばれる北欧の青い夜空や、日照時間が少ない冬の季節と密接に関わる独自の文化なのです。

キャンドルは、温かい雰囲気を演出するだけではありません。不規則にゆらめくキャンドルの炎は、『1/fゆらぎ』と呼ばれる心地良いリズムで人間の生体リズムと共鳴し、私たちの自律神経を整え精神を安定させてくれます。

※『1/fゆらぎ』
小川のせせらぎや、そよ風の動き、うちよせる波など、自然界にみられる規則正しさと不規則さがちょうどよいバランスで調和したリズムやパターンのこと。私たちの体内リズムも『1/fゆらぎ』になっているといわれています。

“一緒にいる幸せ”を演出するテーブルのキャンドル

デンマークでは、昼夜を問わずテーブルでキャンドルの明かりを灯します。温かい炎の光は、集う人々の心をひとつにし、一体感、安心感を与えてくれます。

あり合わせのメニューで気軽に楽しむ友人とのランチタイム、一日の終わりにその日の出来事を家族で話し、心内をシェアして気持ちを安らかに過ごす夕食のひと時を、デンマークの人々は「ヒュッゲだ」と感じます。

デンマークのヒュッゲな食卓では、「何を食べるか」より、「誰とどうやって食べるか」が大切なのです。

お気に入りの物を大切にする暮らし

長い冬を家の中で過ごすデンマークの人たちにとって、インテリアはとても重要です。世界的な家具デザイナーを何人も輩出しているデンマークでは、皆それぞれの好みの家具やファブリックを見つけ、長く愛用しています。

お気に入りのソファーでお気に入りのブランケットに包まり、お気に入りの写真集を開く。温かいコーヒーと甘いケーキ。こういったひと時もヒュッゲな時間です。

ゆったりと春を待つ暮らし

長い冬を過ごすデンマークの家庭では、春を待ちわびるように、美しい花や観葉植物で部屋を彩ります。ヒュッゲな暮らしの根幹には、いつも自然への深い敬意や感謝の心があります。

秋から育てる球根植物は、冬から春にかけての定番アイテム。成長を見守りながら春を待ちます。光を反射するガラスや水も、暗い冬の窓辺を明るくしてくれます。

ヒュッゲの舞台は居心地の良い我が家

ヒュッゲは、身近な人と心安らぐ時間を過ごすための丁寧な暮らしの中にあり、決して非日常の癒しではありません。ですから、ヒュッゲをする舞台はおのずと「我が家」が中心になリます。

日本でも、熱々のお鍋を囲む夕食や、季節の和菓子、お気に入りの入浴剤で過ごす時間など、身近なところにヒュッゲはあります。居心地の良い空間、くつろげる時間を心がけ、ヒュッゲな暮らしを楽しみましょう。

インテリアコーディネーター
山賀史子さん

神奈川県横浜市生まれ。高校在学中にカナダのホームステイ先で、ライフスタイルに合わせた生活空間づくりを楽しむ様子に感銘を受け、短大で生活造形・インテリア学を学ぶ。浜松の設計事務所およびハウスメーカーで勤務したのち、フリーランスのインテリアコーディネーターとして活動を開始し、2015年に「in F」として独立。お客様のイメージを形にし、長く愛着を持って快適に過ごせるインテリアの提案を行っている。

撮影:遠鉄ホーム
袋井堀越の丘

 

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